棍棒飛ばし公式ルール

2024年9月16日改訂(前回24年6月)

総合

  1. 2チームによる攻守入れ替わり制で行う。
  2. 攻撃側は棍棒台に載せた被打棒を殴打棒で殴り飛ばし、守備側はそれを撃墜棒で打ち返すなどして阻止する。
  3. 攻撃側は殴打者が1名1打ずつ飛ばし、守備側は撃墜者が複数名で待ち構える。
  4. 勝負は各チームの合計点数で決する。


打場

  1. 打場の大きさは縦28(42)m×横14m。
  2. 棍棒台は高さ30cm直径20-30cmのヒノキ、もしくは同程度の比重の針葉樹の丸太を縦に使用し、零線中央に固定する。
    (※チェーンソーで左右背後3~4箇所に切れ目を入れ、そこに鉄筋を打ち込むようにする。また、棍棒台の前には土を入れたクッションを置くことで殴打棒の破損や反動を軽減できる。クッションは、土嚢袋2枚重ね+麻袋+カーペットがおすすめ。タイヤなどゴム製のものは跳ね返りがあるため不適。)

公式戦

  1. 公式戦は6〜10回制とし、半分が終了した時点、その他適宜必要と判断された時点で休憩(ぐびぐびタイム)を挟む(最終回が同点で終了した場合は勝敗が決するまで延長戦を行う)。
  2. 公式戦は、攻撃は5名以下、守備は4名以下の競技者によって行う。
  3. 公式戦において控え選手は3名までとし、交代は無制限に行える(選手の登録者数は8名まで)。ただし、1回の攻撃において同じ殴打者が2度打つことはできない。
  4. 公式戦においてはどのチームも女子選手を1名以上攻撃に参加させなければならない。女子殴打者の得点は2倍して計上する(マイナス得点は2倍しない)。
  5. 公式戦においてチームは、選手とは別に監督1名、コーチ2名、介添1名までをベンチに置くことができる。監督またはコーチはベンチ前の所定の位置(テクニカルエリア)まで出ることが認められる。介添は攻撃時に殴打者を補佐することが認められる。ただし介添は一線を越えて打場に入ってはならない。
  6. 公式戦においては、棍棒台の左右にそれぞれ殴打者保護ネットを設置する。ネットは殴打の支障とならないよう零線から1.5mほど前に固定する。ネットのサイズは縦180cm×横90cm程度とする。なお、撃墜者が打ち返した被打棒がネットにあたった場合はその結果をそのまま得点に計上する。

攻撃(殴打)

  1. 殴打者による打ち方は、棍棒台に置いた被打棒に対して殴打棒を上から振り下ろす形に限る。それ以外の打ち方は反則であり0点となる。
  2. 点数は、0~3.5mは0点、3.5~7mは1点、7~10.5mは2点、10.5~14mは3点、14~17.5mは4点、17.5~21mは5点、21~24.5mは6点、24.5~28mは7点というように、3.5mごとの範囲のどこで被打棒が静止したかによって採点する。なお、28m以上の場外に飛んだ場合は10点、42m以上の系外に飛んだ場合は20点とする。
  3. 被打棒が線を跨いで静止した場合は、その割合に関係なく高い点数のほうを採用する
  4. 横幅を示す左右の側線の外(線外)に被打棒が飛んだ場合、または撃墜者に弾き出された場合は0点とする。
  5. 撃墜者に被打棒を鹵獲された場合は-5点とする(※鹵獲は撃墜者が2タッチ目ノーバンで被打棒をキャッチすること)。
  6. 撃墜者に被打棒を零線より後ろ(論外)に打ち返された場合、または殴打者が自ら被打棒を零線より後ろに飛ばした場合は-5点とする。
  7. 殴打者が空振りした場合、1度目は不問とし、2連続で行った場合に-5点とする。
  8. 殴打者が殴打した際に被打棒が著しく破損ないし折れた場合は、無効として新しい被打棒を殴打することができる。ただし殴打者が望めばそのまま採点される(採点は被打棒の最も大きな破片が静止した地点で行う)。
  9. 殴り飛ばされた被打棒が地面で跳ねたり撃墜者に打ち返されたりした場合も、最終的に被打棒の動きが止まった地点が採点対象となる。被打棒が静止した時点をその攻防の完了とする。
  10. 殴打席に立つ殴打者以外の攻撃側の選手はベンチに待機しなければならない(介添えを除く)。

守備(撃墜)

  1. 撃墜者は、棍棒台側に一線を超え出てはならず、撃墜棒も一線を超え出てはならない。また撃墜者は、殴打者が被打棒を打つまでは場外側に臨界線を越えて立ってはならない。
  2. 撃墜者は撃墜棒および身体以外を使用してはならない。また、撃墜棒を地面に差し込んで使用してはならない。なお、撃墜棒は撃墜者1名につき1本まで打場に持ち込める。
  3. 撃墜者による守備が有効であるのは被打棒の動きが止まるまでとし、一度被打棒が静止したにもかかわらず打ち返すなどした場合は無効となる。
  4. 被打棒が静止するまでに撃墜者が被打棒に触れてよい回数は全体で2度(2タッチ)までとし、1度(1タッチ)目は撃墜棒でのみ接触が認められる。ただし、撃墜者が接触するよりも先に被打棒が地面に接触した場合、撃墜者は1度しかその被打棒に触れることができない。
  5. 被打棒の鹵獲は、2タッチ目で尚且つ被打棒が一度も地面に接触していない場合にのみ認められる。鹵獲した場合は-5点とし、さらに次回攻撃時に1名多く打つことができる。その1名を「奪棒」と呼称し、通常の先棒、次棒、三棒、副棍、大棍の5名に加えて攻撃を行う。奪棒は何番目に打ってもよい。なお同じ者が1回で2度打つことはできない。また、守備時に複数度鹵獲が成功したとしても、次回に奪棒として攻撃に加われるのは1名までとする。
  6. 地面に落ちた被打棒を拾って投げる行為、撃墜棒または身体で押すように転がす行為は認めらず無効となる。
  7. 撃墜者が被打棒に認められた方法以外で接触した場合は、その被打棒が接触されなければ到達していたであろう地点の得点が殴打者に計上される。悪質な場合は注意または警告の対象となる。また、撃墜者が被打棒に認められた方法以外で接触したうえで得点が上がった場合は、その得点を殴打者に計上する。

補足(1)

 ・攻防の始め方は以下のような順序で行う。

  1. 撃墜者はいずれかの得点域または左右いずれかの線外域に立ち、準備完了後、最後尾の撃墜者が挙手する。なお、各得点域または左右の線外域にはそれぞれ1名までしか立つことができない。また挙手後、全ての撃墜者は相手殴打者が打つ瞬間まで各区域から出てはならない。
  2. 殴打者は棍棒台に被打棒を据え、準備完了後、挙手する。なお挙手後、被打棒の位置を動かしてはならない。
  3. 審判による号笛後、攻防を開始する。


補足(2)

  1. 選手および審判への危険行為や妨害行為はこれを禁止する(野次や罵倒は妨害行為にあたらないが、差別的な発言には警告または退場処分が課される)。
  2. 競技者および審判以外による打場への侵入はこれを禁止する。
  3. 悪質な反則または禁止行為を行った選手およびその他の者には警告ないし退場処分が課される。警告は2回目で退場処分となる。

【服装規定】

  1. 守備時にはヘルメット、強固な金属製フェイスガード、手の甲側に指先までクッションの入った手袋の着用を義務付ける。その他着用できる防具は、非金属製の脛当てに限る。
  2. 競技者の衣服は、上半身はTシャツ、下半身はズボンと靴下とする。いずれも1枚ずつで、綿またはポリエステル製のものとする。また、上記にくわえて上下半身それぞれインナーを1枚ずつまで着用できる(女子競技者のインナーは2枚まで可)。雨天の場合のみ、上記に加えカッパを上下1枚まで着用できる。
  3. スパイクや先芯のある靴の着用はこれを認める。

【棍棒規定】

  1. 棍棒飛ばしで使用する殴打棒と撃墜棒はすべて木製に限り、樹種は問わない。
  2. 殴打棒と撃墜棒は棒状のものであれば形や大きさは各人の自由であるが、その競技者が片手で持ち上げられる大きさを上限とする。ただし、打撃部は木口の面取り、枝を落とす、皮を剥く以外の加工は認められない。また、枝の出ている棍棒は何本であれ枝の合計80cmまで認める。

  3. 被打棒は以下のような規定を設ける。

  • 全長50cm程度
  • 打撃部の直径6.5cm程度
  • 持ち手の直径4.5cm程度
  • 打撃部:持ち手=5:4程度=約28:22cm
    (持ち手は打撃部から徐々に細くなるような形状とし、残り15cm程度は一定の太さとする)
  • 重さ1200g程度

この条件を充すのは、イチイガシを除くカシ類かカシに相当する比重(0.9程度)の樹種に限られる。生育数や入手のしやすさからいってカシ類が最も適当。また、カシを上記のサイズに削って乾燥させれば概ね1200gとなる。

なお、公式戦においては全日本棍棒協会製の公式被打棒を使用する。

【用語】

・棍棒場…棍棒飛ばしを行う場所
・打場…棍棒飛ばし用に線で区切られたコート

・零線[ぜろせん]
・点数線(一線、二線、三線…~七線)
・臨界線
・開闢線[かいびゃくせん]
・側線
(以上5つは打場図を参照のこと)

・棍棒台…殴り飛ばされる小さい棍棒(被打棒)を設置する丸太の台。

・殴打棒…棍棒台に置いた小さい棍棒(被打棒)を殴り飛ばす大きい棍棒。
・被打棒…大きい棍棒(殴打棒)によって殴り飛ばされる小さい棍棒。
・撃墜棒…飛んでくる棍棒(被打棒)を打ち返す守備用の棍棒。

・殴打者…攻撃時に殴打棒で被打棒を殴り飛ばす競技者。
・撃墜者…守備時に撃墜棒や身体で飛んでくる被打棒を阻止する競技者。

・競技者…試合に出場している者。
・選手…控え選手を含めた登録選手。

・打棒…殴り飛ばされた被打棒。

・場外…奥行き28m以上の臨界線外区域。
・天上げ[てんあげ]/昇天る[あがる]…奥行き28m以上の区域(場外)にまで被打棒を飛ばすこと。10点が入る。
※天高く棍棒を飛ばす、テンションが上がる、10点を計上する等の意味が込められている。

・系外…奥行き42m以上の開闢線外区域。
・グレートバン[Great Bang]…奥行き42m以上の区域(系外)にまで被打棒を飛ばすこと。20点が入る。

・愚打/愚棒…3点以下のしょぼい打棒。
・愚打る/駄棒る…側線内で四線より手前に被打棒を飛ばす、ないし打ち返されること。

・線外…側線外区域。
・愚打る/駄棒る…線外に被打棒を飛ばす、ないし打ち返されること。0点となる。

・論外…棍棒台より後ろの零線外区域。
・トミる…被打棒を後ろ(論外)に殴り飛ばす、ないし打ち返されること。非常に不名誉なことである。殴打者が自ら2連続で飛ばした場合、または撃墜者に打ち返された場合に-5点となる。

仏跨ぎ…殴打者による正面打ちの型。
・地獄跨ぎ…殴打者による斜め打ちの型。

・追放…撃墜者が線外に被打棒を弾き出すこと。
・返打…撃墜者が低得点域に被打棒を打ち返すこと。
・追打ち…撃墜者が2タッチ目でさらに被打棒を打つこと。
・足蹴にする…撃墜者が2タッチ目で被打棒を蹴り出すこと。
・去勢…撃墜者が被打棒の勢いをバント的に殺して打ち上げること。
・鹵獲…撃墜者がノーバン2タッチ目で被打棒をキャッチすること。
・投棒…撃墜者が撃墜棒を投げて打棒を阻止すること。

・先棒、次棒、三棒、副棍、大棍、(奪棒)…殴打者の打ち順、またその打ち順の各殴打者を表す。先棒から大棍が1〜5番、奪棒は前回守備時に鹵獲が成功した場合に出場する選手を指す。